ミャンマーの技能実習生に対して、日本への 「国外出国禁止」措置 が取られている背景と現状についてご説明いたします。
1. 背景:クーデターと軍政による出国規制
2021年2月の軍事クーデター以降、ミャンマーは国軍による強権的支配下に置かれました。その影響で、国民の国外流出を制限する動きが強化されています。特に若年層や技能実習生など、海外での就労・生活が安定した層を軍政が「人材流出リスク」と見なすようになり、出国手続きに対する制限が段階的に強化されています。
具体的には、ミャンマー労働省が発行する「海外労働身分証明カード(OWIC/スマートカード)」の発給を 2025年2月1日付けで停止 する措置が実施されました。これにより、日本での技能実習や特定技能就労を予定していた多くのミャンマー人が途中で出国できなくなっています astmil.co.jp+5note.com+5ngj.jp+5。
2. 出国停止の目的と背景政策
この出国制限には以下のような意図があると分析されます。
3. 実際の影響と現在の状況
スマートカード発給停止
上記措置により、ミャンマー人の技能実習生・特定技能者の 多くが出国手続きに不可欠なスマートカードを取得できなくなり、就労内定を得ていた人々も 出国できずに留まってしまうという事態が発生しています youtube.com+5note.com+5note.com+5。
地震などによる混乱
2025年3月28日のマンダレー近郊の大地震では、空港や行政機関が被災し、出国関連手続きがさらに混乱しました。結果として、元から少ない出国許可がさらに前兆的に低下しています jitco.or.jp。
実習機関・送出し機関への影響
ミャンマー内の送り出し機関は、スマートカード発給停止以降、海外就労希望者に対して 「出国遅延」や「出国不可」の案内を余儀なくしています。日本の受入企業も、予定をキャンセルせざるを得ない状況で混乱が広がっています note.com+1ngj.jp+1。
4. 日本における対応と影響
日本では、受入企業や監理団体は 「OWIC取得後にCOEを取得し、出国」という流れで実習生を迎えるため、OWIC未発給=出国不能は 実質的な「内定取り消し」に等しいと捉えられています ngj.jp+1note.com+1。
その一方で、日本の人手不足解消を目的としていたプログラムにも影響が出ています。なぜならミャンマー人は 技能実習生・特定技能生として一定数受け入れられていた国のひとつであり、その枠が突然消滅することで 企業の人員計画に大きなブレ が生じているためです jitco.or.jp+3note.com+3note.com+3。
さらに、ミャンマー国内の本制度に対する信頼低下や送出数制限の頻繁化から、日本企業は 「ミャンマー人材はリスクが高い」として送り出し契約の見直しを進めているケースもあります note.com。
5. 今後の展望と課題
ミャンマー軍政の内部調整
ミャンマー政府は今後、 出国枠を月15名/送出機関単位に制限する制度導入を予定しており、今後も流動的な政策になると見られています astmil.co.jp+2jitco.or.jp+2note.com+2。
日本側対応策の必要性
日本側では、代替国(ベトナム・フィリピン・インドネシアなど)へのシフトを進めつつ、ミャンマー人材の救済策や代替案の検討を迫られています。
人道的・制度的な検討の必要性
ミャンマー国内の風評や制度不安定性から、出国を待ちながら日本への渡航が困難な人々への救済策が求められます。国際機関やNGOなどを通じて、公正な手続きと心理的支援が図られることも重要です。
6. まとめ
分類 |
内容 |
出国禁止措置 |
2025年2月1日より、OWIC(スマートカード)の発給停止により、ミャンマー人の技能実習・特定技能就労希望者の多くが出国不能となっています ngj.jp+2note.com+2jitco.or.jp+2。 |
背景 |
軍政による徴兵人材確保、人口流出抑止、政権維持が目的。 |
問題点 |
出国不能により、日本側企業の採用計画が狂い、予定していた人材が来日できず、ミャンマー側の希望者も就職の機会を失っています。 |
今後の課題 |
ミャンマー軍政と日本・国際社会の協調した制度整備、代替人材確保、被害者救済の枠組み作りが急務です。 |
結びに
ミャンマーの技能実習生に対する国外出国禁止措置は、2025年2月以降のスマートカード発給停止に起因し、出国予定者・日本の受入れ側双方に深刻な影響を及ぼしています。この措置は、徴兵や人口流出阻止など軍政の政治的目的と深く関わっており、現時点では断片的な例外措置がとられているものの、全体としては不透明な状況が続いています。
今後は、日本とミャンマーの両政府、および国際的支援機関が協力し、公正かつ透明な制度コミュニケーションの整備、代替プランの策定、そして何よりも被害を被っている実習・就労予定者への支援が求められています。